小松崎茂という画家をご存じでしょうか?その名前は知らなくても昭和の時代に子どもだった人は作品を見れば分かる人も多いのではないでしょうか?

子どもたちに未来の姿などを緻密な作画で紹介してきた小松崎作品を集めた美術館が美作市にオープンしました。

米軍の爆撃を受けて最後の時を迎えようとしている戦艦大和。

こちらは子どもの学習雑誌に掲載された宇宙ステーション。描かれたのはISS=国際宇宙ステーションの打ち上げが始まる40年前です。

作者は小松崎茂。最もその名を知らしめたのはサンダーバードなどプラモデルの箱に描かれた数々の作品です。

美作市の湯郷温泉の一角にオープンした小松崎茂美術館。

「このように夢を実現することができました」

館長は竹中信清さん。

子供のころから小松崎作品に魅せられ、長年にわたり作品を収集するだけでなく生前の小松崎と交流を続けてきました。

(竹中信清館長)
「画家として名前を覚えたのが小松崎茂が一番最初なんです。まだ見ぬ世界…西部劇の絵とか宇宙の絵とかいうのを子どものとき見まして『うわーこんな所があるんや』と」

館内では、自宅アトリエを再現しています。実際に使用していた机や遺族から譲り受けた絵の具や筆が並んでいます。スケッチブックには、数々の作品でモチーフにした戦艦大和の姿が…竹中館長は代表作の一つ、上空から見た大和の姿から小松崎の類まれなる才能が分かるといいます。

(竹中信清館長)
「軍事機密で(大和を)上から撮った写真は無いらしいんです。それを横から見ただけで分かると言うんですあの先生は…空想力ですね。空想で、それがまた合っているんですね。ここにあれがあったら、これがないといかんとか、先生はよくそれを言っていた」

その空想力と緻密な作画で昭和の少年たちの想像力をかきたてた小松崎。絶筆=最後となった作品で描いたのは大和の油絵。これが最後と悟っていたかのような後ろ姿です。

(竹中信清館長)
「あの時代にこれだけ時代を先取りした画家がいたというのを認識し(後世に)残してほしい」

生涯をかけて子どもたちのために描き続けた小松崎茂。没後20年以上たってもその作品はかつての少年だけでなく、いまの子どもたちの心にも届く何かがあります。